静電植毛(フロック加工)とは、表面加工技術の一つで、
電力の力を利用して基材と呼ばれる素材に短繊維を植え付けていくものです。
子どもの頃、下敷きをこすり、髪の毛を逆立てて遊んだ記憶はありませんか?
静電植毛とは、まさにあの逆立った髪の毛の如く、素材の表面に繊維が立つようにくっつきます。
川口合成の静電植毛では、接着剤をつけた素材に約3万ボルトの電気を流し、強力な電界を作ります。
強力な電界の中では、ミクロン単位の短繊維が飛び交い、素材の表面にくっつきます。
そして植毛が完了したあとは、短繊維が落ちないよう高温で乾燥させ、全行程が終了です。
ちなみにフロック加工の「フロック」とは、短繊維のことで、素材に
接着剤を塗布して短繊維を植付ける加工処理法のことです。
他にも、植毛塗装や、高電圧を利用して植毛することから電着植毛と呼ばれることもあります。
01原反
当社では、ロール状のものに短繊維を
植毛加工(フロッキー加工)します。
静電植毛を行う素材は、紙、不織布、布、
樹脂シートなど様々ですが、機械の特性状、
素材はロール状になることが原則です。
※基材の選定、サイズなどは別途ご相談ください。
02接着剤塗布
静電植毛で使われる接着剤は、製品の使用中に繊維が抜け落ちを防ぐための耐久性と、製造工程上、速乾性が求められます。
接着剤は、素材ごとに配合が異なる上に、「使用期限」は24時間。つまり、一度作った接着剤は、24時間以内しか持たないということです。そのため、当社では、毎朝約400キロ近い接着剤を作っています。
03短繊維電着
数万ボルトの電界の中で、短繊維が飛び交い、素材(基材)に植毛されていきます。
04.05乾燥
植毛が完了したら、高温で乾燥させます。
06検品・梱包・納品
出来上がった製品を丁寧に検品し、
ロール状、または所定のサイズにカットをして納品します。
静電植毛は、密閉した空間の中に、プラス極とマイナス極の電極板が設置されています。
その両極に対して3万ボルトの電気を流すと、両極の間に電界が生まれます。
その電界の中に短繊維を入れると、短繊維はプラス極かマイナス極のどちらかに吸い寄せられ、帯電されます。
すると、今度は帯電された短繊維が反対側の極に吸い寄せられ、反対側の極に向かって飛び出します。
そうして短繊維が飛び交っている間に、接着剤を塗布した素材(基材)を入れると、接着剤がついている部分にのみ、短繊維が立って刺さるというわけです。
静電植毛に使われる繊維は、ナイロンやレーヨンが代表的です。
ナイロンの場合は、繊維自体にコシがあるものの、コスト面では比較的高くなります。
一方レーヨンの場合は、柔らかい手触りが特徴的で、感触を大切にしたい場合は
レーヨンを用いることがあります。また、一つ一つの短繊維は、太さ数ミクロン、
長さは数ミリという非常に小さなものですが、色はもちろんパイルの太さや長さも指定することができます。